2015/08/28

鍼灸経絡治療のこだわり


前回に引き続き、日本での滞在期間中の出来事を綴りますが、今回の目的第2弾は、経絡治療学会の夏期大学に参加する事。

これは毎年8月8日から10日に行なわれているものです。いつも、息子と自分の誕生日(9日と10日)に重なり、お誕生日どころではないのが、玉にきずで、前回は初めての息子の1歳の誕生日もすっぽかして出席したものです。笑
自分の家族には、なんていう親だって顔をされながら、1歳だからこそどうせ覚えていないだろうなんて思いながら。笑 
そういった苦い思い出がありながら、あの4年前に参加したのは、私の今のキャリアに絶対の影響を与えていたと思っております。4年前にドイツから初めて参加した際、学会長の岡田先生の講義を聴きました。その彼のお話は、今でもとても印象に残っています。

今回の夏期大学のお話をする前に、その時のお話をさきに。

今や鍼でも使い捨てのディスポ鍼を使う世の中、日本鍼灸師の職人のような技術の追求とその道具・ツールのこだわりのお話で、先生はバイオリニスト千住真理子とストラディバリウスの例を挙げておりました。イタリアの弦楽器制作者アントニオ・ストラディバリが製作した、現在約600挺が存在するとされている、界最高峰のバイオリン。一般に数千万から数億円で取引されている。有名なバイオリニストが使う者がその使い勝手を認識し、感性を持って接するという事。感性とは、物事を心に深く感じ取る働きのことです。その感性を育てるには、本物に触れて磨くということ。

このお話を聞いて、ドイツで中医学を学び始めた私は、東洋医学の理論等は欧州でも良くご存知の先生は沢山いますが、こういった事をいう先生は初めてでした。このとき、初めて中国の鍼と日本の鍼の違いがわかった気がします。先生がおっしゃっている本物の鍼灸師とは職人みたいな者なんだと。鍼をただ打つだけじゃなくて、その鍼一本のこだわりとそれに接する感性が必要だという事。
このお話にすごく感銘を受け、その日の懇談会で先生とお話をさせて頂き、岡田先生の診療室を見せて頂けることになりました。実際に先生の診療室では、使用している鍼をどのように管理しているかなど、ベテラン先生ならではのこだわり感のあふれる診療室で、貴重な体験でした。患者さんを第一に考えるやさしい治療院という印象でした。そしてこういった理念を踏まえてする鍼灸院が私の目指す所だなと実感しました。

所詮、私の一生涯の道のりになりそうですが。。。

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